春の記憶


麗かな春の陽気にうっかり気も緩みそうになりますが
現状に鑑み 出来る限り正しく恐れ
今日の一日を慈しみをもって送りたいと思います
 

菜の花をコップに挿して相向ふ
春ごとにかかるきみとの記憶

坪野哲久(つぼのてっきゅう)


例年とはまるで違う卒業式を迎えることに
なってしまった学生さんたちの映像が流れる中
微かに思い出した短歌です
記憶を辿るように改めて短歌本を開いたら
無性に書きたくなりました
明治生まれの歌人が詠んだ
瑞々しく彩り美しいこの歌も
疲弊した人々に届くことはないかもしれませんが
ほんのいっときでも
愛あることばに触れ
大切なものを見失わぬよう
また傷つけぬよう守りたいですね

ありがとうございます